月経困難症と低用量ピル

当院では月経困難症の治療薬、低用量ピルについてご案内しています。

月経困難症とは

盛岡で思春期の月経困難症は当院へ

月経困難症とは「月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状」と定義されています。
つまり、以下に挙げる症状により、仕事や学業に集中できないなど日常生活に支障をきたしている状態を指します。

思春期・若年女性における月経困難症の割合は34〜94%といわれています。

月経困難症の症状

こんなお悩み、ご相談ください

・下腹痛・腰痛・腹部膨満感・嘔気・頭痛・疲労感・脱力・食欲不振
・イライラ・下痢・憂鬱

月経困難症により、学校の欠席、集中力の低下や学業への影響、スポーツアクティビティへの影響、社会生活への影響

が指摘されています。

スポーツ庁委託事業「子供の体力向上課題対策プロジェクト」で千葉県の中高生に行った調査(2016年)によると、月経痛の程度に関しては、我慢しているが43%、薬で我慢しているが35%、1日寝込むが2%であり、月経痛に関して積極的な治療が行われていない事がわかりました。

月経困難症の種類

機能性月経困難症と器質性月経困難症

月経困難症は、機能性月経困難症と器質性月経困難症に分類されます。

機能性月経困難症

月経痛の原因になる病変がないものを、機能性月経困難症といいます。
月経1〜2日目の出血が多い時に強く、痛みの性質は痙攣性、周期性で頸管の狭小やプロスタグランジン(PG)過剰による子宮の過収縮が原因です。

器質性月経困難症

子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜癒着・子宮奇形・子宮内膜ポリープといった病変を伴うものを、器質性月経困難症といいます。

月経前4〜5日から月経後まで続く、持続性の鈍痛の症状が出るケースが多いです。

※ 器質性月経困難症が疑われる場合は、近隣の婦人科へ紹介させていただきます

月経困難症の治療
治療
当院では月経困難症の治療として、
市販薬としても入手可能な「非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)」のほか、
保険適用のある低用量ピル(LEP:Low dose Estrogen Progestin)を扱っています。

初経後3ヶ月を経過していれば安全に使用できます。

薬「低用量ピル」

ピルを服用することで、生理痛や生理不順の改善、過多月経と貧血の改善、卵巣がんや子宮体癌のリスク低下、避妊など、女性の体の負担を減らしてくれるさまざまな効果が確認されています。

●ピルは排卵を抑える効果がある

月経は、2つの女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌によってリズムが生まれます。体温を上げる作用のあるプロゲステロンの分泌が収まってゆくと生理期間が始まり、体温の低下や生理痛、体の痛み、憂鬱な感情といった月経困難症の症状が現れてきます。不要になった子宮内膜を月経で排出し、生理期間が終わりに近づくと、エストロゲンの分泌が増えてきて排卵の準備を整えていくというサイクルです。

月経困難症の治療薬として処方される低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンが低用量配合されており、服用することで体内のホルモンバランスに働きかけます。

通常、女性ホルモンの分泌は脳の司令塔である視床下部がコントロールしています。しかし、ピルを服用すると、脳は「体内に黄体期と同じようにホルモンが出ている状態だから、ホルモン放出の指令を出す必要がないのだ」と勘違いします。この結果、排卵が止まり、内膜が厚くならず、内膜がはがれるときに放出される痛みの原因となるプロスタグランジン(PG)が少なくなり、子宮収縮による痛みや出血が和らぎます。

●服用方法
低用量ピルは錠剤の飲み薬です。1日1錠、毎日決まった時間に飲みます。
飲み忘れないようにリマインドしてくれる、スマホアプリもあります。

●副作用
1 マイナートラブル(よくある副作用):飲み始めて最初の1〜2ヶ月に頭痛、軽い吐き気、月経(生理)とは違う軽い出血などが現れる事があります。これらの副作用は、体が薬になれる3ヶ月くらいで大部分がおさまります。

2 血栓症(滅多に起こらない副作用):血管に血の塊(血栓)が詰まる病気で、以下の症状があります。

手足:突然の足の痛み・腫れ、手足の脱力・麻痺
胸:突然の息切れ、押しつぶされるような痛み
頭:激しい頭痛
口:舌のもつれ・しゃべりにくい
目:突然の視力障害

服用中にこれらの症状が現れたら、医療機関を受診し低用量ピルを服用中であることを伝えてください。

血栓症は低用量ピルを服用していない女性にも起きる症状です。年間10,000人あたり、1〜5人におこるとされていますが、妊娠時や出産直後には血栓症のリスクが高まります。妊娠時の5〜20人、出産直後の40〜65人と比較して、低用量ピルを服用している時に血栓症の発生するリスクは3〜9人であると報告されています。

●料金のめやす:保険診療(3割負担の場合)
診察料(初診)1,330円

お薬代(1シート:1ヶ月分)
ヤーズフレックス®︎配合錠(ドロスピレノン・エチニルエストラジオール):1シート  2,353円
フリウェル®︎配合錠ULD(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール):1シート 650円

●処方の流れ
1 問診
2 血圧測定・必要に応じ診察 *内診はしません
3 処方

月経の痛みは我慢せずに受診を

・月経時の痛みは仕方がないものだから・・・
・痛み止めを飲んで我慢しよう
・私だけじゃないから…

月経時の痛みや苦しみのある女性は多いものの、我慢している方が非常に多いのが現状です。

当院では女性のQOL(生活の質)の向上のため、積極的にピルを処方しようと考えておりますので、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

海外渡航向けのワクチン接種 トラベルクリニック外来 オンライン診療